20世紀末のミニバンブーム、生き残ったコンパクトミニバンはフリードとシエンタだけ

 このように90~00年代にかけてさまざまなコンパクトミニバンが登場しましたが、現在まで残っているのはフリードとシエンタの2モデルのみになります。生き残った理由を考えると、スライドドアで利便性を高めていることと、3列目シートに快適とまではいかなくても大人が座れるだけのスペースが確保されていることが挙げられます。

フリードが90年代のミニバンブームから今まで生き残れたのは「コンパクトミニバンなのに、3列目に大人が座れるから」かもしれないフリードが90年代のミニバンブームから今まで生き残れたのは「コンパクトミニバンなのに、3列目に大人が座れるから」かもしれない(広報写真)

 実は初代シエンタはこの条件を満たしていたモデルとは言えず、3列目シートは非常用の補助席的なものでした。カタログでも3列目に座っているのは大人ではなく子どもでした。しかし2代目で3列目のスペースを拡大したことでヒットモデルとなったのです。

車内の広さを生かし、車中泊をする人にも人気

 モビリオから続くもう一つの特徴として、ホイールベースの長さが挙げられます。ロングホイールベース化により室内長を長くして余裕を持ってシートを配置する。この恩恵を別の形で活用したのがモビリオの2列シート版であるモビリオスパイクです。

モビリオの2列シート版「モビリオスパイク」モビリオの2列シート版「モビリオスパイク」(広報写真)

 コンパクトながら広い室内空間を生かし、遊びに使える機能を盛り込んだモビリオスパイク。2列目シートを格納すると、長さが1855mmもある荷室が出現しました。この広さを生かして車中泊を楽しむ人が大勢いました。ホンダも純正アクセサリーで車中泊キットを販売していました。

 モビリオがフリードに名称変更した後も、2列シートモデルはフリードスパイク、フリード+、そして現行型にも2列シートモデルが用意されています。

 フルモデルチェンジでデザイン性を高め、さまざまな新機能を盛り込みながらも、モビリオの基本コンセプトをブレずに継承する。最初のコンセプトがしっかりしていたからこそ、これだけ長い期間、多くの人から選ばれているのだと思います。

(AD高橋)