現代のSNSの行動様式では相手をがんがん責め立てたり社会的に排除したりしますが、セネカがそのことについて語ったかのような一節が『ルキリウスへの手紙:モラル通信』にあります。

「群衆に交わるのは危険である。そこでは誰もが悪徳を行っており、私たちはそれに魅せられて、悪徳を植え付けられたり無意識に汚染されたりする。確実なのは、自分が交わる大衆の規模が大きければ大きいほど、危険性も大きくなるということだ。

 自分の中にある砦の、できるだけ奥深くに引きこもりなさい。関わるのは自分を磨いてくれるような相手にしなさい。自分が相手を磨けそうなら、そういう相手は喜んで受け入れなさい。切磋琢磨はお互い様であり、人間は教えながら自分も学ぶ。あなたの優れた資質は自分の内側へ向けられるべきだ。」

 あなたがどうしてもSNSを使うのであれば、ストア派からは、控えめにすること、自慢ばかりしないこと、延々と自己PRする場にしないことを助言されるでしょう。

「公の場では、自分ばかりが話していることのないようにし、また自分の達成したことや脅威と感じているものについてはあまり語らないようにしなさい。なぜなら、危険な目にあっている話は、語る本人にとってはどれだけ楽しくても、それを聞かされている側にはそれほど楽しくないからだ」

 とエピクテトスは言いました。

 ストア派が美徳とする節度は、SNSとの関わりにおいて非常に役に立つでしょう。

「ほとんどはレベルが低くてくだらない」古代ギリシャの哲学者に学ぶSNSの心得とは?『心穏やかに生きる哲学 ストア派に学ぶストレスフルな時代を生きる考え方』(ブリジッド・ディレイニー著、鶴見紀子訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)