これらのプラットフォームには優れた点も確かにあります。人を互いに結びつけ、新しい発想を生み出し、新しい意見を広めます。

 しかし、脳が本能に振り回されるきっかけとなる中毒性のあるもの全てに言えることですが、取り扱いには注意が必要です。

 SNSを利用し上手に活用するのに、SNSが登場する何千年も前に生まれた哲学など役立たないのではと思われることでしょう。でもストア哲学には、賢くネットでつながるために役立つ助言や手段がいくつかあるのです。

もしも古代ギリシャやローマに
SNSが存在していたら?

 もしも古代ギリシャや古代ローマにSNSが存在していたらもちろん、ゼノン、クリュシッポス、エピクテトス、セネカを始め、みんながSNSを利用したでしょう。

 本来のあり方からすれば、SNSは人々を結びつける素晴らしい手段であり、彩色回廊の階段(すなわちストアのことで、ストア哲学の名前はここから来ています)での集いを再現するような共同体や、当時の哲学界での異なる学派同士のつながりや対話のネットワークを作り出したはずです。

 想像してみてください。船が難破し、積み荷がダメになり、見知らぬ土地で困り果てているゼノンがやって来たところを。時間を持て余して哲学を学びたいと思っており、もしかするとこんな具合にネットに投稿するかもしれません。