安倍晋三の気合いに押され
幹事長の重責を引き受けた

《2014年9月の内閣改造・自民党役員人事で、幹事長に起用された。総裁経験者が幹事長に就くのは初めてだった。消費税率の引き上げ判断や安全保障法制の見直しなど、政権の行方を左右する難題を抱えていた当時の安倍晋三首相(党総裁)は、党運営の安定性を重視し、苦しい野党時代に総裁を務めた谷垣氏を党の要に据えることを決めた》

 もう総裁もやりましたから、自分の政治生活はだいたい終わりだと思っていました。改造前に法相を務めたのも、安倍さんに「何かやってくれ」と頼みこまれたからで、もともとやるつもりはなかったのです。その後に幹事長を打診されるとは、全く予想していませんでした。

 都内のホテルでひそかに会い、最初は「法相で最後のご奉公のつもりですので」「将来性のある方になさっては」としぶったのですが、あのときの安倍さんは集団的自衛権の行使を可能にするための法整備をするということで、かなり気合が入っていました。「いろんなことに目配りをしなければならない。ぜひお願いしたい」と言われ、引き受けざるを得なくなりました。