人身売買への関心は、この数年一貫して注目されている彩礼(結納金)の高騰とも結びついた。人身売買の横行と彩礼の高額化は表裏の関係にあるともいえる。結納金など結婚費用を捻出できず結婚相手を見つけられなければ、どこかでさらわれてきた女性を安く買うしかない、と考える人が存在するからだ。

農村での結納金は
年収の何倍にも相当

 彩礼は日本の結納金にあたり、結婚の際に男性側が女性側に払うお金だ。中国ではここ数年、彩礼の高額化がネット上で関心を集めてきた。女権ブームの文脈でも彩礼を受け取るべきか否か、彩礼をどう考えるべきかという議論が続いてきた。

 最近結婚したという中国メディアで働く女性は「彩礼は嫁姑問題と並んで、ネット上で閲読量が稼げる定番のネタ。こんな調査はないけど、中国人の関心のある社会問題のトップ3に必ず入るだろう」と話し、さらに「だれもが頭の中に1つの彩礼地図が入っている」と笑った。

「彩礼地図」とは中国全土の地図にそれぞれの省での彩礼の平均額などを記したものだ。中国のネット上では何種類もの地図が簡単にみつかる。

 たとえば中国のネットメディア「頭条」によると、湖南省や山東省などでは結納金の平均が10万元(約200万円)を超え、福建省と浙江省では20万元以上という。一方、北京は3万元、広東省も4万元にとどまる。