彩礼の額などを巡る意見の食い違いによって婚約が破談になったり、結婚後も家庭内不和の原因になったりすることは「一般的」であり、40%以上の家庭が彩礼を発端とする不和があったという。男性側が彩礼を払えずに相思相愛の男女が結婚できず、男女のどちらかが自殺したり、事件を起こしたりする悲劇が定期的に中国メディアを騒がす。
引く手あまたの都市男性に比べ
農村男性は圧倒的に不利な境遇
中国政府は彩礼を「俗習」「因習」などと呼んで規制しようと躍起だが、高額化は政府の政策によって生じた予期せぬ副産物という側面もある。
彩礼の高額化は2000年代から始まり、問題として広く認識されたのは2010年代に入ってからだ。かつて中国人がまだまだ貧しかった2000年ごろまで彩礼の多寡は誰も気にしていなかったという。
別の取材で知り合った河北省の50代の女性は、1990年前後に結婚した際、彩礼は「米1袋」だったと笑った。この女性は「昔は彩礼なんてすごい田舎の因習というイメージだった」とも振り返る。
高額化をもたらした要因の1つは1人っ子政策だ。よく知られているように、中国では1人っ子政策によって人口の男女比が不均衡となった。2020年に実施された第7回国勢調査によると、男性は女性より約3500万人も多い。1人っ子政策は1980年代から厳格化された。彩礼の高額化は、この時期以降に生まれた世代が結婚適齢期を迎えたタイミングと一致する。