われわれが経験することの多くは、それが真実であり、現実であり、論理的であるかのように見えている。経験していることを当たり前のことのようにやりすごす。

 だが、自分自身の考えや感情を、それを表す言葉とともに、しっかり見つめられる意識をもてたとき、はじめて本当の選択ができる。

 これが成功のカギだ――筋肉ではなく脳を鍛えるジムのようなものだ。

 セルフ・コーチングは強い自己観察力がなければ不可能なんだ!

 こんなふうに自分に問いかけるだけでいいんだよ。

『なにが起こっているんだ?』

『私は今どんな状況にいるんだ?』

『私は『批判する人』になっているのか、それとも『学ぶ人』になっているのか?』

『私はなにを求めているのだろう?』

 選択は自分自身の思考、感情、行動を観察することから始まる。きみが考えているよりずっとシンプルだよ」

 ほんの少し懐疑心が薄らぐのを感じながら、私はうなずいた。

ネガティブな出来事が起こった時
解釈と決断は選択できる

「今からそれをテストしてみよう。ちょうどぴったりな問題がある。『あなたは私のことを敗者や批判する人と考えているのですか?』きみがそう尋ねたとき、いったいなにが起こっていたかを考えてみよう」

「いいですよ」と私は不安な思いを抱えつつ返した。

図1選択の地図『選択の地図』同書より転載 拡大画像表示

 ジョゼフは「選択の地図」の左側にあるスタート地点を指しながら言った。

「きみが『学ぶ人の道』と『批判する人の道』の分岐点に立っていると考えてみてくれ。

 次にこの人物の下に書いてある『どんな瞬間にも人に影響を与えるもの。思考、感情、環境』に注目してほしい。

 なにか不愉快な環境にいる場合、たとえば、思いもよらない請求書が送られてきたり、つらい知らせを伝える電話がかかってきたり。あるいは、駐車場に停めていたきみの新車のフェンダーを、トラックが壊してしまったとか。こういうことはすべて『批判する人の落とし穴』の入口になったりする。人生にはいろいろあるからね」