2017年の研究では、「朝食にしっかりたんぱく質を摂取した人は、摂取しなかった人に比べ、周囲の人をより受け入れることができた」という報告も発表されています。また、たんぱく質は、セロトニンやドーパミンといった脳の活動に必要な神経伝達物質の材料となり、不足すると集中力ややる気の低下に関わります。

 たんぱく質は体にためておくことができないので、毎日毎食摂るのが理想。忙しい朝は、おにぎり1個や食パン1枚で簡単に済ませてしまうという方も少なくありませんが、朝こそたんぱく質を摂取することを心がけてください。

 朝に最もおすすめな食品が「卵」です。ヒトに必要なたんぱく質は、20種類のアミノ酸から構成されており、食べ物として口の中に入ると、アミノ酸に分解・吸収されたあと、体に必要なたんぱく質に再合成されます。また、アミノ酸は体の中で作られるものと食事からでしか摂れないものがあり、食べ物からでしか摂れないものを必須アミノ酸といいます。

 この必須アミノ酸がバランスよく含まれている食材が「卵」。卵は、生卵、ゆで卵、目玉焼き、スクランブルエッグと、調理のバリエーションが豊富なので、飽きずに食べられるのもうれしいポイント。ぜひ、毎朝1個の卵を習慣にしてみましょう。

鉄不足の状態は
「脳の働き」が低下する

 鉄は私たちの体の中に、成人の場合は約3~5gあり、その約70%が、血液の赤血球および筋肉の中にあります。赤血球の中の鉄は全身に酸素を運ぶという重要な役割を担っています。

 しかし私たち日本人は、大人子ども問わず、圧倒的に鉄が足りていません。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると、鉄の摂取推奨量は、8~9歳で男7.0mg/女7.5mg、10~11歳で男8.5g/女12.0mg、12~14歳で男10.0mg/女12.0mgですが、実際は7~14歳の平均で、男6.7mg、女6.3mgしか摂取できていないのが現状です。

「鉄不足=貧血」をイメージされる方が多いかもしれませんが、鉄の作用は酸素運搬だけではなく、DNAの合成、ミトコンドリアの呼吸、ミエリン合成、神経伝達物質の合成と代謝にも必要なため、鉄不足の状態は、記憶力、学習能力、認知機能といった脳の働きの低下も起こします。

 もし、お子さんが、朝なかなか起きられず、常にだるそうで、学習意欲が低いなどの症状がある場合、鉄が不足している疑いがあるので、今一度食生活を振り返ってみましょう。