稲葉 家での声かけは単純で、父親母親関係なく、あらかじめ「生理痛がある、量が多い、生理じゃないときにも出血がある、生理の期間が長い、だらだら続くなど、どんなことでも、生理に関することでしんどいことがあったら、1ミリも我慢しなくていいからね、産婦人科に行こう」と伝えることです。とにかく1ミリも我慢しなくていいから相談してねと伝えておくことが大切です。

すべての保護者が
意識と行動を改革すべし

稲葉 生理痛は本当に人それぞれなので、母親は全然しんどくないけど娘さんはかなり生理痛が重いということもあります。自分を基準にしないことがとても大切です。

 自分はこれで楽になったよという話はしてもいいですが、医療でないものはすべてが効くとは限りません。

 もちろん「ママしんどくないし、あなたも我慢できるでしょ」なんて絶対NGです。「ママも我慢してたから、あなたも我慢しなさい」も当然なしです。

 男性だから知らないというだけでなく、今の保護者世代全体にアップデートが必要です。性教育の本が増えてきているので、それを一緒に読むのもいいかもしれません。今の子はこういうふうに教わるんだということもわかりますし、そのときに「本当はこういうことを教わるべきだったんだな」という視点で見ていただくといいと思います。

「エロくて恥ずかしい」性教育“10歳の壁”をどう乗り越える?→3人姉妹を育てる有名タレントが教える具体的な対処法『女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから』(犬山紙子、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

犬山 男親だからじゃなくて、すべての保護者が意識と行動を改革する必要があるんですね。

 ただ、どれだけあらかじめ声をかけていても父親と生理の話をするのを嫌がる子どももいます。その場合はナナメの関係を作り頼ること、学校の担任の先生や、親族の女性、娘の友人の母親に頼む、などの方法を考えることが重要だと思います。

【著者の対談相手のプロフィール】
稲葉可奈子(産婦人科専門医) Inaba Clinic院長。京都大学医学部卒業、東京大学大学院にて医学博士号を取得、双子含む四児の母。小中学生からかかりつけにできる婦人科を作るため2024年7月渋谷にInaba Clinic開院。