社会問題となっている職場の「パワーハラスメント」。しかし、上司からすると指導とパワハラの境目がわかりづらかったり、正しいことを言っているつもりでもパワハラと受け取られてしまったりと、なかなか判断が難しいもの。そんなあいまいな「パワハラ」と「指導」の境界線をはっきり教えてくれる本が『それ、パワハラですよ?』です。今回は、本書の著者であり、人事・労務の分野で約15年間、パワハラ加害者・被害者から多数の相談に乗ってきた弁護士の梅澤康二さんと、本書で漫画を担当した漫画家の若林杏樹さん、元エリート幹部自衛官でひどいパワハラに苦しんだ経験を持つ会社員インフルエンサーのわびさんの3人で、座談会を行いました。その中から、「無意識のうちにパワハラ上司にならないために気をつけるべきこと」についてご紹介します。(文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
パワハラは「人の心をえぐる」行為
――イチ読者として、わびさんが『それ、パワハラですよ?』を読まれた感想をお聞かせください。
わび タイトルを見たときは、部下側……ハラスメントを受ける側の本かと思ったのですが、読んでみるとどちらかというと「上司側に注意喚起するような本」だったので、とても驚きました。
管理職をしている人にとってはかなり有用な内容になっていると思っています。
一方で、「パワハラで悩んでいる人」にとっても、自分がされていることがパワハラなのかをジャッジするのにも、非常に役に立つはずです。働くすべての人に読んでいただきたい内容ですね。
――わびさんの著書『この世を生き抜く最強の技術』に、ご自身もかなりひどいパワハラを受けた経験が書かれていましたね。
わび そうですね。例えば、私を叱責するメールを、最初にやりとりしていたメンバー以上の人をCCに入れて送ってきたり、私の報告・連絡・相談は後回しにされて、いつも19時ごろからしか対応してもらえなかったり。休みを削らないと絶対に間に合わない締め切りを設定してくるのも日常茶飯事でした。
ただ、こういった業務負荷以上につらかったのは、「私の家族に関しての暴言」でした。子育て中で大変な中で妻が作ってくれた弁当に文句をつけたり、私の子どもの名前を貶したり。
今は回復しましたが、当時は非常に心をえぐられるような思いをしました。
Xフォロワー18万人超えの会社員
日常の気づきを語ったつぶやきが10万超えいいね!を連発するなど、ネットニュースでも話題の人物。自衛官時代の壮絶なパワハラ体験と人生を生き抜く知恵をまとめた『この世を生き抜く最強の技術』(ダイヤモンド社)は3万部突破のベストセラーに。最新作『人生から逃げない戦い方』(扶桑社)も話題/イラスト:死後くん