社の制度を「続ける」ためには、経営者の強い意志が重要であるのは間違いないです。しかし、それだけで10年、20年と同じことを続けていくことはできません。時代の変化は激しく、ある時代では賞賛された価値観が、ある時代では無用なものだと忌み嫌われることもあります。
たとえば、昔は、社員の住所の共有は、あたりまえのように行われていました。年賀状やお中元、お歳暮などのやりとり、あるいは緊急連絡などにも必要なので、社員の住所録を会社がつくり、社員に配布するということは一般的でした。しかし、今は、個人情報保護の観点から、そういった行為は好ましくない状況になっています。
続けていくには、そういう時代の流れや価値観の変化みたいなものにも寄り添って、適合していかなければならないのです。
その意味では、「親孝行強化月間」という取り組みが、この20年という「恐るべし」期間にわたって継続できたということは、それはある意味、木村石鹸という会社の価値観に、フィットしてきたものであったこと、それが「木村石鹸らしさ」を形づくる重要な要素であったからではないかと思うのです。
そして何よりも、時代の変化が激しい中においても、「親孝行する」という行為や価値観の重要性が全く損なわれなかったという背景があるように思われます。
不平不満の気持ちで向きあう人
感謝の心で向きあえる人
僕は「親孝行強化月間」の本質が「感謝スキル」の向上にある、と最近になって気づきました。親孝行を考えることは、自分が今、生きて、生活しているというあたりまえのことに、どれだけの人たちの支えや貢献があったのかに想いを馳せることです。
一言で言えば「感謝する」ということ。そして、この「感謝」という行為は、実は、スキル(技術)という側面があり、日々改善、成長させていけるということに気づいたのです。