その話を聞き、「足るを知る」と幸福には、何か関係があるんじゃないかなと考えるようになりました。そして、「足るを知る」は、感謝という心遣いの延長にあるのではないかと思うようになったのです。
感謝は意識して取り組めば取り組むほど、感謝する心が育まれ、豊かになっていくものではないでしょうか。むしろ感謝する心が先にあるからこそ、よいことや、すばらしいできごとに気づけるのではないかとも思います。
極端に言えば、この日本に生まれたということにも感謝できるし、今、ふつうに生活できているということにも感謝できるわけで、私たちの身の回りは感謝できることで満ち溢れています。そんなあたりまえの日常や生活に感謝できる心が、「感謝すべきできごと」を現前化させるのではないか。
親父はよく「親孝行できる社員を育てたい」と言っていますが、これはある意味、社員の感謝スキルを高めることであって、それは「社員が幸せになる」ということとほとんどイコールなのかもしれません。
時代の変化が激しいなか
「親孝行」の価値だけは不変
以下は、以前、社員に1万円を支給する際に添付したメモに書いた文章です。
――今年も親孝行強化月間がやってまいりました。この取り組みも今年で20年目を迎えます。平成最後の4月に、親孝行強化月間が節目の20年を迎えるというのも、何かの縁のようなものを感じます。あ、もちろん次の元号になってもこの取り組み自体は続けていくつもりですが……。
父(現会長)は、よく、
10年、偉大なり。
20年、恐るべし。
30年、歴史になる。
50年、神の如し。
という格言を口にします。どんなものでも「続ける」ということは大変なことです。「継続は力なり」という言葉があるように、まず、ほとんどのことは「続ける」ことが難しいのです。
木村石鹸はこの2019年で95年目を迎えますが、木村石鹸の中の数ある取り組みの中でも、もっとも長く続いている取り組みの1つが、この親孝行強化月間です。