朝晩が冷え込む今の季節こそ、年末年始の混雑を避けて、まだ訪れたことのない社寺に足を運ぶチャンスです。12月17日に登録30周年記念日を迎える京都の世界文化遺産をテーマに、今回は東寺、西本願寺、清水寺をご案内します。(らくたび、ダイヤモンド・ライフ編集部)
まずは平安京のスケールを実感
例年より紅葉の見頃が遅れたこともあり、12月半ばになってもまだ散りもみじや散りイチョウが楽しめる京都。朝晩はぐっと冷え込みますが、晴れの日が多く、年末年始前の今こそ絶好の散歩日和です。12月17日に登録30周年記念日を迎える「古都京都の文化財」。紅葉の名所も多くあります。17件ある京都市・宇治市・大津市(滋賀)の世界文化遺産のうち、アクセスのしやすさも踏まえた一般的な人気で五指に入るのは、清水寺、金閣寺(鹿苑寺)、二条城、天龍寺、平等院あたりでしょうか。
しかし、東海道新幹線で「京都」に入る観光客にとって、駅から徒歩圏内の世界文化遺産、それは東寺(南区)です。正式には教王護国寺という東寺真言宗の総本山であり、平安京が開かれた2年後の796(延暦15)年、都を守護する官寺(国営の寺院)として創建されました。それから27年後の823(弘仁14)年には、第52代嵯峨天皇より東寺を賜った当時50歳の弘法大師空海が、真言密教の根本道場とし、今に続いています。
新幹線の車窓からも見える五重塔を目指して駅の八条口から歩くこと15分ほど、大宮通を渡れば、南は九条通(国道1号)に面する広大な東寺の境内にたどり着きます。正門は奥に国宝の金堂が見える南大門ですが、まずは東寺周辺の散策から。
そのまま九条通を西へ500mほど歩くと、花園児童公園の中に、かつて平安京の玄関口であった「羅城門遺址」の大きな石碑が滑り台の前に立っています。1200年前、この左右35mほどもあったときから、北の大内裏に向かう幅約85mもの都のメインストリート「朱雀大路」が延びていたのです。
ちなみに、ここからさらに北西方面へ500mほどの唐橋西寺公園には、平安京造営当初、東寺とともに都の二大官寺であった「史跡西寺阯」という国の史跡を示す碑が立っています。東寺と同様、五重塔が存在していましたが、鎌倉時代に焼失したのを機に廃寺となりました。羅城門と西寺は共に石標が残るのみですが、東寺は創建以来ずっと同じ位置にあるため、実際に歩いてみることで、平安京のスケールの大きさを肌で感じとることができます。