(2)失敗に対する感謝

 挫折して物事が思うようにいかないとき、落胆するのはごく自然なことである。

 しかし、そんなときこそ投げやりになるのではなく、改善に向けて努力するために感謝の気持ちを持つことが大切だ。

 失業や不合格などの挫折に見舞われたとき、まず、自分がつらい思いをしていることを認めよう。

 次に、それを書いたり話したりすると、自分の感情を表に出すことができる。そうすることによって気持ちを落ち着かせよう。

 いったん気持ちが落ち着いたら、その経験がどんな恩恵をもたらすかを考えよう。その際、3つのポジティブなことを思い浮かべるといい。たとえひとつしか思い浮かばなくても、想像力を働かせれば、少なくとも3つは見つかるはずだ。たとえば、スキルを磨く機会が得られる、人前で話す力がつく、家族と過ごす時間が増える、などなど。

 リストを作成しながら、不運に見舞われたと思える状況に感謝をささげよう。その際、たとえば「この挫折の中にポジティブなことが見つかって、とても感謝している」と唱えると効果的だ。

 初めのうちは実行するのが難しく思えるかもしれないが、挫折の中にポジティブなことが見つかって感謝できるようになる。それを習慣にすれば、人生の喜びが大きく増えることだろう。

ふだんの生活の中ですでに持っている素晴らしいものに気づくことが、すべての豊かさの始まりである。

エックハルト・トール(ドイツ生まれでカナダ在住の作家)

感謝の心を育むと人生を妨げる難題を
解決できる力を得られる

喜びがあるから感謝するのではなく、感謝するから喜びがあるのだ。

デヴィッド・スタインドル・ラスト(アメリカの修道士、作家)

 感謝の心は、おとぎ話に出てくる魔法の薬に似ているかもしれない。魔法の薬を飲むと、永遠の命を授かって、たちまち若返る。それと同様に、感謝の心も驚異的な効果をもたらす。

 もちろん、感謝の心をはぐくんでも、永遠の命が授かるわけではなく、たちまち若返ることもない。しかし、人生で直面する難題の多くをすんなり解決する力が得られるのはたしかだ。

 感謝の気持ちにあふれた人生を送るうえで直面する可能性のある問題と、それを乗り越えるための知恵を紹介しよう。