大きな目標と強欲は明確に違う
感謝の心は強欲を抑える
もっとほしいと思うのは人間の本性であり、多くの人がなんでも最高のものをほしがる原因である。しかし不幸なことに、この傾向は深刻な問題を引き起こす。
いったん最高のものをほしがるようになると、それは際限がない。なぜなら何かを手に入れても、もっといいものがほしくなるからだ。たとえば、寝室が3つある家を買ったら、次は寝室が6つで広い庭付きの豪邸がほしくなり、最新の高級車を買ったら、さらに別の高級車がほしくなる、といった具合である。
一部の人はその口実として、「もっといいものをほしがることが前進につながり、より大きな目標を達成するためのモチベーションになる」と主張する。しかし、より大きな目標を達成することと強欲であることのあいだには明確な違いがある。
強欲とは、あり余る富や権力などを手に入れようとする利己的で行き過ぎた願望のことである。人間は強欲に支配されると、何を手に入れても満足しなくなる。
一方、より大きな目標を達成することは、それとはまったく違う。有意義な目標を設定して、そのために一生懸命に努力し、目標を達成したことに感謝することができるからだ。
要するに、より大きな目標を達成することと強欲であることの違いは、感謝の心があるかどうかだ。
強欲に支配されないために気をつけるべきことは次のとおりである。
・ふだん受けている恩恵を常に意識する。
・何かを手に入れたいという強い願望を抱いたら、少し時間をとってその願望について考え、正当性と重要性を検証する。
・「それは本当にほしいものか?」「それはどういう感情に由来しているか?」「それは人生にどんな価値をもたらすか?」と自分に問いかける。
・その問いについて熟考し、答えを書いて、それに気づいたことに感謝する。
強欲は大きな支配力を持っているが、あなたはそれを抑える力を持っている。感謝の心をはぐくめば、強欲のために自滅することはない。
キケロ(古代ローマの政治家、雄弁家、哲学者)