その後、店舗の内装デザインや什器の手配、そしてデジタルディスプレイ設置と事業を広げ、やがてそのディスプレイを使ってどのようなサービスを展開できるか、リアルの空間にデジタルでどんなイノベーションを起こせるか……という流れで、事業を展開、発展させてきました。

 私自身は、大学卒業後、投資銀行や外資系コンサルタントを経て、LMIグループに入社しました。その理由は、この会社が、同じ高校と大学に通っていた親友、当社社長の永井俊輔の実家、家業だったからです。

 新卒で入社したベンチャーキャピタルを半年で辞め、家業を継ぐことになった永井は、古い産業、業界を変え、本当の価値を生み出していく挑戦の最中でした。そんなあるとき、永井から、コンサルタントの視点で経営にアドバイスをしてほしい、という依頼を受けました。

 LMIは、ウェブ広告事業者とはまったく違うルートをたどり、リアル空間で1200社ものお客さまとともに知見を積み重ねながら、リテールメディアに至っている企業です。当然、リテールの現場における対応、そして商空間を活用する発想は、大きくアプローチが異なります。

 読者の皆さんも、まさかそんな会社がリテールメディアに取り組むなんて飛躍しすぎなのでは? とお考えになるかもしれませんが、客観的な目線も入れて分析すればするほど、LMIの持つポテンシャル、本質的な価値を追い求める力に共鳴せざるを得ませんでした。

 LMIとは、「レガシー・マーケット・イノベーション」を指します。古き良きレガシー産業に、効率化やデジタル化をもたらし、市場を変えるイノベーションを創り出す――そんな思いが込められています。

 もちろん、私たちは、ウェブ広告を全否定するつもりなどまったくありません。ウェブ広告が育んできたデータ分析、そして効率化のいいところを取り入れながらも、ウェブ広告とは違った方法で、リアル空間と組み合わせようとしているわけです。そのノウハウや考え方は、本書でさまざまな事例を交えながらご紹介していきます。

リアル店舗でのリテールメディアには、ウェブ広告をはるかに超える可能性が秘められている〈PR〉
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