韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(現在、職務停止中)が12月3日深夜に宣布した非常戒厳で、韓国軍の精鋭部隊「第707特殊任務団」が姿を現した。この部隊は米陸軍のデルタフォースや陸上自衛隊の特殊作戦群と同様に秘密のベールに隠されており、有事には北朝鮮の金正恩氏を暗殺する「斬首作戦」を遂行する。日本はおろか韓国でもほとんど知られていない韓国軍の特殊作戦部隊の隠された実態を解き明かす。(安全保障ジャーナリスト、セキュリティコンサルタント 吉永ケンジ)
世界中に知れ渡ってしまった
「テロリスト暗殺部隊」の装備
米国の軍事力評価機構「グローバル・ファイヤーパワー」が2024年1月に発表したランキングによれば、韓国軍の実力は米中露印に続く世界第5位で、日本(7位)を上回る。そんな世界トップレベルの韓国において、国民の目にも触れることがほとんどない特殊作戦部隊「第707特殊任務団」の活動が、非常戒厳宣布で一部明らかになった。
韓国の特殊作戦部隊(SOF)の実力と活動はどのようなものなのか。北朝鮮と対峙する韓国軍でトップに位置する部隊の実情について、関係者の証言を交えて迫ってみたい。
第707特殊任務団は、韓国陸軍のSOFを統括する「特殊戦司令部」の直属部隊だ。非常戒厳の際、黒色の戦闘服に暗視装置(NVG)を付けた兵士が国会に出動し、議員らと揉み合った場面が報じられ、秘密であるはずの姿が世界中に知れ渡ってしまった。