世界保健機構(WHO)が2015年に発表したガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」では、成人及び児童の1日当たりの糖類摂取量を、エネルギー総摂取量の10%未満に減らすことをすすめており、さらに5%まで減らして1日25g(ティースプーン6杯分)程度に抑えれば、健康効果が増大すると指摘しています。
これに照らせば、500mlのスポーツドリンク1本でほぼ1日分、ジュースなら1日分以上の糖分を摂取することになります。他に食事や間食などでも糖分を摂取していることを考えると、スポーツドリンクやジュースの飲み過ぎには注意が必要です。
子どもの成長を考えても、食生活に影響を与えるため、糖分の与えすぎは良くありません。子どもの健康のためには、子どもに与える飲み物は水やお茶など、糖分を含まないものにすべきでしょう。
思春期や小学校に入ると
「間食」で虫歯リスクが急上昇
子どもは学校に通うようになると、友達と買い食いをしたり、運動中にスポーツドリンクを飲み続けたりするなど、常に糖質を摂取し続ける可能性が高まります。こうした「ながら食べ」をしていると、虫歯になる可能性が一気に高まります。
そもそも虫歯とは、ミュータンス菌などの虫歯原因菌が出す酸によって、歯が溶ける症状のことです。食事の後に歯磨きをしないと、歯に汚れが溜まって歯垢(プラーク)になります。ミュータンス菌は、この歯垢(プラーク)を餌にして酸を出します。その酸によって歯が溶け出す現象を「脱灰」といいます。しかし、その後、何も食べない状態が続くと、唾液によって歯を元の状態に修復する「再石灰化」が進み、虫歯になるのを食い止めることができます。
この時の口の中のpH値(酸性かアルカリ性か)は、食事を取ると口の中は脱灰によって酸性に傾きますが、食事をしていない時は、唾液が歯の再石灰化を促し、アルカリ性へと傾きます。
しかし、食事と食事の間に取る「間食」の回数が増えると、再石灰化がなかなか進まず、脱灰の時間が長くなることで、虫歯が発生しやすくなります。その最も悪い状態がながら食べです。