米連邦準備制度理事会(FRB)が12月に利下げを決定したことは、不可解だが啓蒙(けいもう)的でもある。この決定によって筆者は、金融政策ルールの多くの利点をより深く認識することができた。筆者はまだこうした政策決定をコンピューターに委ねる気にはなれないが、FRBを任されている人間たちは、一貫性のある運営原則を確立し、そこから逸脱する場合には根拠を説明することを義務付けられるべきだ。2023年末時点で、連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが示していた経済・金利見通しの中央値は、24年の経済成長率が1.4%、変動の激しい食品とエネルギーを除くコアのインフレ率が2.4%、フェデラルファンド(FF)金利の引き下げが3回になるというものだった。ところが米経済は現在、約2.5%の成長率と2.8%のコアインフレ率に向かっている。景気が予想よりもはるかに力強く、インフレがよりしつこい状況では、FRBは金利の変更幅を縮小すべきだった。それどころかFRBは予想より大幅な利下げを実施した。インフレ見通しが1年前より悪化しているにもかかわらず、最新見通しでは25年に複数回の追加利下げが想定されている。