「腐敗認識指数」で見る韓国の縁故の状況

 韓国では血縁あるいは同窓生など、特定の個人のつながりが政治、社会、経済の運営に無視できない影響を与えることが多い。近年の韓国映画には、公務員と企業の経営者が癒着した話、土地の売買などで不正に私腹を肥やすケースなどを描いたものが多い。

 実際に文在寅(ムン・ジェイン)前政権下、一部の政府関係者による土地投機疑惑が明らかになり、支持率が低下する一因になった。文政権下では、経済では対中重視、安全保障は対米依存、外交では北朝鮮融和と対日強硬姿勢のスタンスだった。

 検察出身の尹大統領は前政権の方針を修正し、日米との経済、安全保障関係を重視した。しかし、22年の大統領選挙で当選した後、金夫人のスキャンダル報道が相次ぎ、支持率は低下した。尹大統領は自らを守るため、野党の主要人物を拘束する非常戒厳に踏み切った。

 韓国の政財界の癒着の状況を確認できるデータがある。国際的な非政府組織、トランスペアレンシー・インターナショナルが公表する、「腐敗認識指数」(Corruption Perceptions Index)だ。

 各国の公務員と政治家がどの程度汚職しているか、縁故などの影響がどの程度か、その度合いを国際比較し順位付けしたものだ。23年のランキングはhttps://www.transparency.org/en/cpi/2023で見ることができる。

 最も清潔な状態を意味する100から、最も腐敗していることを示す0までの範囲で採点されている。23年のランキングで1位(最も清潔)はデンマーク(90点、前年から変化なし)で、2位はフィンランド(87点)だった。

 トップ10は欧州の国が多いが、5位にシンガポール(83点)がランクイン。日本は16位(73点)で、米国は24位(69点)。そして、韓国は32位(63点)であり、日米欧の主要先進国より低い。

 このランキングから示唆されるのは、日米欧などと比べると、韓国では政治・経済の運営に与える特定個人の利害の影響度が高いことだ。それは、今回の非常戒厳にも当てはまるだろう。主要先進国の最高意思決定権者が、立場を守るために戒厳令を実行するのは前代未聞だ。しかし、韓国では実際にそれが起きた。