人事部の担当者はどういうスタンスであるべきか
芦川さんがCEOを務めるLeINは、スカウトメールの送信などの一部の業務だけを代行するといったかたちではなく、人事部と“ワンチーム”で計画立案やブランディングなど、採用活動全般の支援を行うことで高い評価を得ている(*8)。さまざまなケースがあるだろうが、人事担当者から、「DXのための人材がほしい」といった漠然とした相談を受けた場合はどう応えるのか?
*8 「HR業界で活躍できる高いスキルが身につく」創業者が語る“レインの強み"と“魅力" 【CEOインタビュー】 より
芦川 まず、その企業がDX化を推進する目的とゴールをお伺いします。私たちのカウンターパートになるのは9割くらいが人事の方で、経営層の意思や事業部の判断を受けて、私たちに向き合われるのですが、何をゴールにDXを推進するのか、事業やビジネスモデルをどう改革したいのか、そして、顧客やユーザーにどのような価値を届けたいのか、などを聞かせていただきます。そのうえで、それを実現するのにどのような組織づくりが必要なのか、どういった業務を遂行する必要があり、どのような人材が必要なのか、という話に移ります。DXにおいては、組織の存在がボトルネックになっていることもあります。何かを変えることに対して、現場が乗り気ではない――そうした現場や組織を変えるためにはどのような人物が必要かを、人事の方と私たちが一緒に考えていきます。
では、より具体的に、たとえば、「サイバー攻撃を防ぐための人材がほしい」といったリクエストに対してはどうだろう?
芦川 そうした場合も、いきなり、「それではこの媒体を使って探しましょう」となるのではなく、お話をしっかり聞かせていただきます。ご相談されている企業が、どのような環境に、どれくらいの規模の、どのようなデータを持っていて、どのような状態を目指していて、現在の状況がどうなっているか? 「As-Is / To-Be」のアズイズ(現状)の詳細をお伺いして、トゥービー(理想)を考え、どういう人物がふさわしいかを検討していくのです。
人材エージェントの力を借りる場合でも、企業側の窓口となる人事部に課せられた役割は大きい。しかし、エンジニアやDX人材採用の知識や経験が乏しい人事担当者が「エージェントにすべてお任せ」といったケースも散見する。
芦川 幸いなことに、LeINがお付き合いさせていただいている人事の方々はエンジニアやDX人材採用に強い想いを持っている方が多いですが、それでも、経営層や部門長といった事業側の方とのコミュニケーションが必要な場合には、私たちが直接に会話をさせていただき、その企業が必要な人材を定義したりするようにしています。
たしかに、エンジニアやDX人材採用について苦手意識を持っている人事の方は少なくありませんが、自社のDXの方向性を経営と握っていただければ、採用においては安心してLeINに任せていただけると思います。日頃、数多くのいろいろな職種の求人を扱うなかにDXのための求人もあるわけで、人事の方がITやDXの知識を深めることは、労力的になかなか難しいと思います。