頭の悪い人が使っている日本語、納得の「3つのフレーズ」とは?会社内、あるいは見知らぬ人の前で使うと、その知性を疑われる言葉がある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

仕事や公式の場でもつい使ってしまって、周囲に知性を疑われる言葉遣いがある――。そう指摘するのは、多摩大学名誉教授の樋口裕一氏。ワンパターンの言葉を連発したり、物事を明確にしないで曖昧にぼかすのは頭の悪い話し方だという。そこで今回は樋口氏の新刊『頭が悪くみえる日本語』(青春出版社)から、とくに頭が悪く見える日本語トップ3を抜粋して紹介します。

「めっちゃ」は語彙の貧困の表れ!

 いい大人が、「めっちゃ」という言葉を公的な場で堂々と口にしているのを耳にする。

「めっちゃきれいじゃないですか」「めっちゃうれしいです」「めっちゃ面白かった」などなど。先日、テレビのニュースで火災を目撃した人が「めっちゃ火が出て」と話していた。

「めちゃくちゃ」という言葉を使う人もいる。「めちゃくちゃよかったです」「めちゃくちゃ感動しました」。この言葉は、「めっちゃ」のように省略されているわけではないので、いくらかまともな表現だ。

 この言葉は、もともとは「やばい」などと同じようにマイナスの面を語るために使われていた。「滅茶苦茶」という漢字があてられ、度外れなこと、筋道が通らないことを示すのに使われていた。ところが、近年では、関西の芸人を通じて広がり、プラス面、マイナス面いずれの場合にも度合いの強さを強調するときに使われているようだ。しかも、この言葉は、「めっちゃ大きい」「めっちゃ歩く」「めっちゃ赤」というように形容詞、動詞、名詞のいずれも修飾するので使い勝手がいい。

 このように口にしている人は素直な驚きを表現しているのだろう。どんなにうれしかったか、どんなに素晴らしかったか、どんなに火の勢いが強かったかを語っているのだろう。だから、親しい友だち同士の内輪の場でこのような言葉を使って、相手との距離を縮めたり、親しさを増したりするために使うのは、いっこうかまわない。

 しかし、会社内、あるいは見知らぬ人の前でこのような言葉を使うと、その知性を疑われる。

 まず、「めっちゃ」という言葉そのものが語彙の貧困さを示すものでしかない。「これまで見た花と違って、紫の色合いがきれい」「そんなことされると思っていなかったのでうれしいです」「火がすごい勢いで噴き上がっていました」などと言ってこそ、聞いている者に状況が目に浮かぶし、しっかりした語彙で語っていることがわかってもらえる。ところが、すべて「めっちゃ」という、かつてはマイナス面を語るときに使われていたこの言葉で済まそうとする。語彙の貧困というほかない。

 しかも、この「めっちゃ」「めちゃくちゃ」という言葉は、それを使った時点で、その後に告げられる表現の語彙の質の低さまでもがわかってしまうという点でも要注意だ。

「めっちゃ」の後にはありきたりの表現しか表れないだろう。「めっちゃ厳粛な雰囲気の仏像だ」などと語る人はめったにいないだろう。必然的に、「めっちゃすごい」「めっちゃ面白い」「めっちゃいい」「めっちゃ走る」などの表現になってしまう。

 そもそも、「めっちゃ」「めちゃくちゃ」は、貧困な語彙であるにもかかわらず、その威力を強めようとして強調する用法にほかならない。言い換えれば、「めっちゃ」「めちゃくちゃ」というのは、かつてはやった「超」と同じように、「私は語彙が貧困です」と宣言しているようなものなのだ。

「めっちゃ」「めちゃくちゃ」と言いそうになったら、もっと他の、より状況の伝わる言葉はないかを頭の中の辞書をくってみることをすすめる。そうしてこそ、大人であることを示すことができる。

「みんな言ってます」は根拠のなさをごまかす言葉

 打ち解けた会議や雑談で、誰もがつい言ってしまう言葉の一つが、「みんな言ってます」だ。

 こう言えば、自分の主張が通りやすくなると思ってのことだろう。いまの潮流が、どうなっているかを言いたいかもしれない。本人はうまく言ったつもりかもしれないが、これは空回りに終わりやすい。