経営学の知識はMBAレベルが必要
資格よりも文化対応力や好奇心

 日本のコンサルファームが支援する国内エンタープライズ企業は、国内市場にとどまらず海外市場への展開を図っている。また、メーカーにおいては海外生産拠点を強化する流れがある。

 こうした背景の中で、グローバル対応が求められるプロジェクトが増え、英語力がプラス要素として重視されている。

 英語力は有用だが、それ以外の能力についても注目すべきである。例えば、戦略立案に関連する経営学の知識があると有利に働く場合があるが、それだけで特段の評価を得られるわけではない。経営学の知識が評価されるのは、MBAレベルに達して初めてという場合が多い。

 ファイナンス分野では、簿記1級や中小企業診断士、USCPA(米国公認会計士)などの資格がプラス要素となる。IT分野においては、Salesforce、AWS、クラウドプラットフォーム、Microsoftの資格などが評価される。ただし、これらは実務経験が必要な場合が多く、学生のうちに取得するのは難しいこともある。

 資格は一定の評価を得られるものの、「それだけで人材を判断する業界ではない。ポテンシャルや知性、愛嬌(あいきょう)、約束を守り抜く力など、総合的な能力が求められる」と神田氏は話す。

 また、顧客の期待に応える中で、自身の専門外の領域にも対応する必要があり、これを前向きに捉える好奇心やマインドセットが重要である。

 さらに、利害や文化背景の異なるステークホルダーとの折衝も多いため、異文化対応力や経営層との対話能力も重要である。課題に対して120%の努力をし、それを楽しむことができる人材が長く活躍できる業界だ。自身の能力を深めたり、新しいスキルを身に付けたりすることを快感と感じる人は、コンサル業界に向いている。

 ビジネスの可能性は無限であり、何をきっかけに新たな事業が生まれるかわからない。そのような環境を楽しめる人にとって、非常に魅力的な業界だ。