総合も戦略もプロジェクトの
タッチポイントを増やす

 一口にコンサルといっても、いくつか種類がある。ITシステムの導入や最適化に関する助言を行う「ITコンサル」、人材管理や組織設計に関する助言を行う「人事コンサル」などだ。これらを総合的に行うのが総合ファーム、経営戦略・事業戦略の領域に特化しているのが戦略ファームである。

 ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は、国内でも最大規模の戦略ファームである一方、総合ファームではアクセンチュアがその規模と売り上げにおいて国内最大級である。

 BCGは数年前にデジタルBCGを立ち上げ、IT人材の確保に力を入れている。また、アクセンチュアは、もともと業務・ITに強みを持つ企業であり、戦略コンサルのブランドであるアクセンチュア・ストラテジーを設けて、戦略策定支援を強化している。

 このように、各ファームがグループ内で戦略や業務・ITの分野において相互に補完し合いながら、事業展開を進めている。戦略の領域で顧客の経営・事業の方向性をつくる支援を行いつつ、その後の業務やIT分野で利益を追求するビジネスモデルへの転換が進んでいる。

 一方で、プロジェクト単価に関しては、どのプロセスをカバーするかで異なる。戦略プロジェクト、業務改革、ITプロジェクトの順に単価が高くなる傾向にある。総合ファームも、戦略ファームも、プロジェクトのタッチポイントを増やし、顧客単価の向上を図る動きが見られる。

 特に、BCGのような戦略ファームは、ITの分野にも展開し、タッチポイントを増やしている。その結果、一つの顧客から得られる収益が増えている状況だ。これに対し、アクセンチュアのような総合ファームも戦略領域の支援を強化し、顧客支援の幅を広げている。

 次に、コンサル業界への就職希望者が企業で活躍し、成長していくために必要な準備、注目すべき資質について解説する。