毎年、新入社員研修を担当させていただいておりますが、年々「自分を認める」ことが苦手な人が増えていると感じます。強みと弱みを書き出すワークをしても、出てくるのは弱みばかりで、自分の強みを10個以上書ける人は稀です。自己紹介でも、苦手なことやできないことなどマイナス面を語り出す人が増えています。

「自己承認」が苦手なのは、何も今のZ世代の若者だけではありません。本稿を読んでくださっている30代、40代のリーダー層の方の中にも、うまく自分を認められず迷っている人がたくさんいることでしょう。

 ところがその上の50代以上の「モーレツ社員」「企業戦士」と言われていたような世代の方々は(当時は「自己承認」という言葉はありませんでしたが)、自分を認め自分のやってきたことに自信を持っている方が多いように見受けられます。

成功体験を積み重ねることで
自己承認欲求は満たされていく

 この違いは、成功体験の積み上げの数だと私は考えています。50代以上の、いわゆる「24時間働けますか」世代の方々は、「合っている/間違っている」に関係なく、とにかくがむしゃらに働いていました。その結果、もちろん多くの失敗もしたとは思いますが、成功体験や実績も多く積んでいます。

 一方で、40代以下になると、「失敗すること」を嫌う傾向が強くなります。学校教育では「読み書きそろばん」と言われるように、自ら発するというより受け身の姿勢で、正解かどうかだけを見られてきました。さらに、評価される対象が自分のまわりの人だけだったのに、SNSがある今、世界中に広がり、まわりの目が圧倒的に増え「完璧にしなくてはいけない」という思い込みを強く持っている人が多いのです。

 失敗や欠点を過剰に気にして、「とりあえずやってみて、失敗したらそれもまた経験」と考えることができずチャレンジを避け続けてきているので、成功体験を積む機会も少なく、結果的に「自己承認」ができないままになっている人が増えてきています。