「自己肯定感」は、「自己承認」と似た感覚ではありますが、より広範な意味で自己の全体像を肯定することを含みます。「自己肯定感」が高い人は自分自身を前向きに捉えることで、長所も短所も含めて自分を受け入れることができます。「自分を信じる力」と言い換えてもいいかもしれません。
WHO(世界保健機関)が発表している「世界幸福度ランキング」の2020年調査では日本は62位。国連が2024年に発表した「世界幸福度レポート」では日本は51位と発表されるなど、毎年、先進国の中でも日本人の「自己肯定感」が低いことはニュースでもよく取り上げられています。
スキルより「マインドセット」を
研修に取り入れる企業が増加中
「自己肯定感」に関する意識は学校教育にも取り入れられはじめていますが、ビジネスの世界でも注目されるキーワードのひとつでしょう。新入社員研修でも、昔はビジネスマナーなどのテクニックを教えてほしいというご依頼がほとんどでしたが、近年は「自己肯定感」を含めたマインド面の強化を求められるようになりました。むしろテクニックは動画や現場でも教えることができるので、マインドセットに重点を置いてほしいという会社もあるほどです。
余語まりあ 著
今年(編集部注/2024年)は、担当したすべての研修で「自己肯定感」に関するセッションを入れました。そこでは「自己肯定感は、自分で気づき高めていくものですよ」という話を必ずしています。「自己承認」も「自己肯定感」も、他人の評価ではなく、自分が自分自身をどう捉えていけるかどうか、つまり捉え方次第です。
実際のできる・できないは一切関係がありません。また、生まれ持って決まっているものでもないので、仮にこれまで「自己肯定感」が低く生きてきたとしても、仕事を通して経験を重ねていく中で、少しずつ培っていくことができるのです。
私自身も、もともとは人生において「自己肯定感」が高かったわけではなく、初期キャリアの仕事との出会いが「自分次第で自分の人生の捉え方を変えられる」と気づくきっかけになり、「自己肯定感」を育めるようになりました。