そこに「リコカツ」カップルのように、結婚直後から離婚を前提として付き合い、しかしそこから絆が生まれてくるような形が例示されると、仄暗い不安の中にちょっとした光の筋が見えるような気もする。離婚を前提とした結婚なら怖くないかも、と。

結婚相手の基準は
「理想の離婚」ができる人!?

 36歳になってすぐ結婚をした私のとある知人は、自分の性格や今までの恋愛の傾向から考えて、自分が一生その人と添い遂げる自信は一切ない、むしろほぼ確実に離婚すると言っていた。しかし不妊治療を始め、子供を育てる上での利便性などを考えて結婚はしたい。彼女の結婚相手選びの陰の選定基準は、なるべく理想的な形で離婚できそうな人、だったという。

 互いの経済的な状況に大きな差がなく、特殊な実家問題などを抱えておらず、マイホームなどの夢がなく、離婚の影響があまりに強い職業についておらず、何より性格的に、世間体を気にしたり、プライドが高く頑固だったり、ヒステリックに怒ったりしない。

 そんな彼女の条件を聞いてみたら、理想の離婚相手は、実は理想のパートナーとほぼ一致しているような気もした。

「結婚相手の条件は?」とか「理想のパートナー像は?」と聞かれて30年余、私たちの多くは17歳のときならスラッと答えられたようなそんなクエスチョンに出せる答えなど持っていない。

 多分昔はかっこよくて優しくてお金持ちで働き者でセンスがよくて面白くて頭がいい人がいいとか言っていたが、かっこよくてもクズだった、優しくてもダメだった、お金持ちでも鬼畜だった、働き者でも休日は使えなかった、センスがよくても金遣いが荒かった、面白くてもバカだった、頭がよくても性格が極悪だった元彼たちを思い出して、もはや自分の理想ってなんだっけ、と見失っている。

 そこそこ健康に生きていればいいような気もするけれど、どんなにスペックが高くてもダメなような気もする。そんなときに「離婚をするならこの人と」という観点で恋人選びをしてみるのはちょっと新鮮味がある。