頭を悩ませ続けていたこの問題ですが、主幹事証券をA証券からB証券に変えたところ、あっという間に解決し、上場することができました。B証券の担当は「今の状態であればすぐに上場できますよ」といいます。主幹事証券が変わるだけでこんなに違うのかと、正直驚きました。

 これは憶測にすぎませんが、インターネット広告という新しいビジネスですから、リスクを気にされたのでしょう。いざ上場してうまくいかなかったとなると、その担当者の失敗になってしまいます。そうした懸念のもと、細かいところまで指摘されていたのかもしれません。証券会社によって基準が違うものだと知った、貴重な経験でした。

 上場できるかどうかはタイミングと運で決まる―。これが私の経験から得た持論です。こうまとめてしまうと簡単そうに聞こえるかもしれませんが、これが意外と難しいもの。タイミングを見定めることも、常に全力で走り続けつつ、勝機が見えた瞬間に一気にいくという馬力を持つことも、決して容易ではありません。私の場合、明確に「いける!」と感じたタイミングがありました。肌感覚としかいいようがありませんが、上場直前期に「これはいける!」という手ごたえを持ったのです。

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