このように、その後の暮らしを話してくれました。
体調が悪くなければ、少しずつでも体を動かしてみるのがいいと思います。
まずは、簡単な体操やウォーキングなど、無理のない範囲でおこなうのが望ましいでしょう。
気分がいい日は、少し離れた場所まで散歩に出かけてみるのも一案です。
先ほどの夫を亡くした60代の女性は、次のように話されていました。
「どうにか外へ出ても、夫と散歩していた道はつらくて通ることができませんでした。夫とは生前、『この花の名前はなんだろう』とか、『もうすぐあそこに新しいお店ができるね』といった話をしながら、一緒に散歩していました。
なので、咲いている花や、新しいお店ができたのを見ると、そこに夫がいないことを突きつけられるんです。
ですがこの前、今まであまり通らなかった道を歩いてみたら、少し気分が変わって1時間も歩くことができました」
妻と一緒に買い物をしていた
スーパーに行けなくなってしまった
妻を亡くした60代の男性は、こんな話をしてくれました。
「今は、妻と一緒によく行っていたスーパーに行けなくて、わざわざ家から離れた店に行って買い物をしています。妻を知っている人に会うのがつらいので……。少し遠いのですが、体を動かすことにもなりますし、ゆっくり品物を見ることもできます」
この男性のように、知っている人に会いたくないという理由で、近所の店での買い物を避ける人はめずらしくありません。
しかしそのことが、結果的に体を動かすことにつながることもあるのです。
定期的に体を動かすことで、血行が良くなり、体の緊張がほぐれ、気持ちに変化が生まれるかもしれません。
適度な疲労感も生じ、食欲が増えたり、夜ぐっすりと眠れるようになったりする効果も期待されます。
睡眠がとれるようになると心身の回復にも役立ちます。気分が少しおだやかになることもあるでしょう。
ただし、つらい気持ちをまぎらわそうと弱った体を無理に動かすことは、逆効果になることもあります。
体調がすぐれないときは、十分な休息をとり、体を優しくいたわるほうが先かもしれません。