この「愛国的パフォーマンス」の主役となったのは、「富二代(フーアルダイ)」と呼ばれる新興富裕層の子供たちだ。彼らは最新の派手なファッションに身を包み、誰が見ても裕福な若者だとわかる装いで現れた。テンション高く、道行く人々とポーズを取って写真撮影に応じるなど、ちょっとしたセレブのように振る舞った。

 この状況は周辺地域へと広がり、江蘇省や浙江省など、上海近郊の富裕層居住地域から、次々と高級車が「応援」という名目で集結。スーパーカーの数はどんどん増えていった。特に、旧フランス租界一帯は、路上に高級車が所狭しと並び、それを一目見ようと集まった見物人で埋め尽くされる事態になった。道路が塞がれ大騒ぎになったあげく、最終的には警察が出動。その一帯を通行止めにする事態にまで発展した。

愛国心の名を借りた「見せびらかし」に、地元上海人やメディアから批判が

 こうした異様な光景が続くようになると、否定的な意見が上がり始めた。特に、地元上海の人々、中でも影響力のある上海在住のインフルエンサーたちは、この行為に対して批判的なコメントを出した。

「本当に恥ずかしい行為だ!我々上海人には、こんな習慣はない。考えてみてほしい。自分の家に訪ねてきたお客様に対して、金ピカの装飾品や最高級ブランド品を見せびらかすようなホストがいるだろうか?これ以上品格を欠く行為があるだろうか。穴があれば入りたい気持ちだ」

「どれだけ自信がないのか。韓国と比較したいのなら、K-POPに代表されるソフトパワーや、最低賃金、1人当たりGDPを比較してみるといい。中国で最も豊かな上海でさえ、1人当たりの所得は韓国の中央値の半分にも達していない。中国全体で見れば、1人当たりGDPは韓国の3分の1しかない」

 政治的な観点から指摘する人もいた。「韓国は、大統領を刑務所に送ることができる国家だ。一方、私たち中国は末端の地方役人の不正さえ正すことができないのに。そんな状況で何を誇っているのか。本当に恥知らずな行為だ」