この「スーパーカー祭り」は、中国の主要メディアからも批判の的となった。有力紙「新京報」は、韓国のネットユーザーの反応を引用しながら、「このような行為は何の効果も生まず、むしろ上海という都市のイメージに深刻な悪影響を及ぼす可能性が高い」と警鐘を鳴らした。またある社会問題の専門家は「この茶番劇は、現代中国に蔓延する拝金主義と富を誇示する風潮の典型例である。結果として、我々の社会が抱える歪んだ価値観と深刻な貧富の格差を、皮肉にも全世界にさらすことになった」と指摘した。

中国人の国民性と「愛国運動」の関係

 今回の騒動の根底には、中国人特有の「人に見下されることを極端に嫌う」という国民性がある。特に近年、「偉大な中国の国威を世界に示そう」「中華民族の誇りを見せつけよう」という、いわゆる「愛国運動」が若者を中心に広がりを見せていることとも関係があると思われる。

 この動きはとりわけSNS上での活動が顕著だ。例えば、若い女性が伝統的な中国衣装を身にまとい、世界各地の観光名所で撮影した動画や写真を投稿するといった行為が増加している。こうした投稿は、愛国心を示すパフォーマンスとして、中国国内で大きな注目を集めている。

 この現象は、日本と中国の文化的寛容性の違いを浮き彫りにしている。例えば、京都の古い街並みや東京の繁華街で、中国の若い女性が「漢服」と呼ばれる民族衣装を着て歩いているが、日本ではまったく問題になっていない。むしろ日本人は概ね好意的で、「綺麗だね」と褒めるくらいだ。

 しかし、この状況を逆転させたらどうなるか。実際、ここ数年、中国で日本の着物や浴衣を着た中国人女性が、見知らぬ人から「文化侵略だ」「公序良俗に反する」といった非難を浴びる事例が相次いでいる。なかには警察に連行されてしまったケースまである。

承認欲求がもたらす逆効果

 このように、「国威発揚」や「偉大な中国」を他者に認めさせたいという中国人の強い承認欲求は、しばしば不都合な結果を招いている。今回の高級車騒動も、結果的に「俗悪な成金の見せびらかしだ」「自信のなさと劣等感の表れ」といった厳しい批判を国内外から浴びることとなった。