ここでは、人間関係で悩みやストレスを抱え込まないために、どのように自分の行動を律していけばよいかについて見ていきたいと思います。
いまはとても多くの人が他人や周囲に振り回されてしまっている時代です。とりわけ、ここ10年ほどでSNSやリモートワークが急速に普及し、人と人とのつながりがますます複雑化して見えにくいものになっています。その対応に追われて自律神経を疲弊させてしまう人も少なくありません。
こういう時代だからこそ、私たちはいたずらに乱されたり振り回されたりしないように、自分の行動をきちんと律して、自分の中にしっかりとした軸を持って人とつき合うようにしていかなくてはならないのです。
人間関係を無難にこなす極意は
「見ざる・言わざる・聞かざる」
私は、人間関係を無難にこなしていく極意は「見ざる・言わざる・聞かざる」にあると考えています。
そう、あの日光東照宮で有名な「三猿」になり切ればいいのです。
とかく人間は、嫌なことや不必要なことを見たり、言ったり、聞いたりしがちです。SNSなどもそうですが、日々の人間関係で雑多な情報にいちいち惑わされているから、つまらないことでストレスをためて自律神経を乱してしまうわけです。
だから、常日頃から「見ざる・言わざる・聞かざる」を意識しておく姿勢が大切なのです。すなわち、他人とつき合う際は、その人との距離感や話す話題に注意を払い、なんらかのリスクや乱れにつながりそうな物事に対しては、意識的に目をつぶり、口をつぐみ、耳を塞ぐようにしていきましょうということになります。
なお、「見ざる・言わざる・聞かざる」のうちでも、一番気をつけておくべきは「言わざる」です。とりわけ、「他人の評価」や「他人の悪口」に関しては、絶対に口にしないと決めておくほうがいいでしょう。
ちなみに私は、誰かから「Aさんってどういう人ですか?」と尋ねられたときは、たとえ私がそのAさんを快く思っていなかったとしても、批判や悪口は口にせず、「いや、素晴らしい人だと思いますよ」とだけ答えるようにしています。
そもそも、他人のことは、誰も評価ができるほどには知らないはずです。会社の同僚だったとしても、その人が働いているときのごく一面しか知り得ません。本当は家族だって知らないことだらけなのかもしれません。だから、そういう「よく知らない人」の評価をするのは極力避けるべき。批判や悪口ならなおさらでしょう。