「WHITE」「BLACK」と書かれたブロック写真はイメージです Photo:PIXTA

黒人への人種差別に対する抗議運動として、世界各地に広がっている「BLM(ブラック・ライブズ・マター)」。このBLMに対抗するように「WLM(ホワイト・ライブズ・マター)」をスローガンに掲げる白人至上主義組織の活動も活発化しているという。オンラインの過激主義やヘイトスピーチなどの研究を行うジャーナリストのユリア・エブナー氏は白人支持者を装い、白人至上主義のマーク・コレットへの接触を試みる。マークが語る「白人ジェノサイド」への危惧とは?※本稿は、ユリア・エブナー著、西川美樹訳『ゴーイング・メインストリーム 過激主義が主流になる日』(左右社)の一部を抜粋・編集したものです。

白人を抑圧する者たちと戦う
ホワイト・ライブズ・マター

 記事潜入調査の一環としてこの運動に初めて参加するまで、わたしはホワイト・ライブズ・マターのことをよく知らなかった。この運動は、ブラック・ライブズ・マター(BLM)の抗議運動に対抗して2016年にアメリカで生まれ、南部貧困法律センター(SPLC)や名誉毀損防止同盟(ADL)などの過激主義監視団体からヘイト集団と断定されている。いまや世界で数十万人のフォロワーと数多くの系列組織を持つ影響力あるネットワークに成長した。「我々は反白人の制度や我々を抑圧しようとするすべての者と戦うことを宣言する。我々は血と文化と精神で結びつき、互いを決して見捨てることはない」。テレグラムにあるホワイト・ライブズ・マターの公式チャンネルに入ると、この通知が目にとまる。

 わたしのアバター「クレア(編集部注/著者が覆面調査を行う際の仮の姿)」は典型的な親白人の活動家だ。愛国的なロゴに、言論の自由がスローガン、コメントはオルトライトの内輪の言葉や記号だらけだ。「OK」のハンドサイン、YWNRU(お前たちに交代されてなるものか)、アイデンティタリアンのシンボルになっているギリシャ文字のラムダ(Λ)。これまでの経験では、クレアはヨーロッパ系であることと、ホワイトネスを支持することを証明するよう求められるはずだ。