2024年12月20日、政府与党は「令和7年度税制改正大綱」を公表した。今年こそ念願のマイホームを買いたい人にとって気になるのは「住宅ローン減税」のゆくえだろう。現在住宅ローンの金利は上昇傾向にあり、マイホームを購入することに二の足を踏む人は少なくない。そこで、本記事では令和7年度税制改正大綱を読み解き、2025年の住宅ローン減税のゆくえを徹底解説する。(税理士・岡野相続税理士法人 代表社員 岡野雄志)
住宅ローン減税とは
どのような仕組みなのか
政府与党が公表した「2025年度税制改正大綱」は、「103万円の壁」や「iDeCo」における掛金拠出限度額の変更に注目が集まった。では、住宅ローン減税には変更点はあったのだろうか。ここでまず、住宅ローン減税とはどのような仕組みかに触れておこう。
住宅ローン減税とは、正式には「住宅借入金等特別控除」と言う。1972年に始まった「住宅取得控除」から今日まで細かな改正を重ねている控除であり、国民がマイホームを無理なく買えるように支えている制度と言えよう。
本制度は返済期間10年以上の住宅ローンを活用して、一定の要件を満たすマイホームを購入・新築する、もしくは増改築を行った場合に、入居した年から最長13年間にわたって、年末時点の住宅ローン残高の「0.7%分」を所得税から控除できる。ただし、合計所得金額(給与や不動産所得などの合算)が2000万円以下の人にしか適用できない。
2024年度税制改正大綱において大きな改正が行われたことは記憶に新しい。2024年度における住宅ローン減税の変更点は4つある。
1つ目は省エネ基準を満たさない新築と買取再販住宅(※)は控除の適用外となった点、2つ目は新築・買取再販の借入限度額が引き下げられた点である。いずれも、住宅ローン減税の恩恵が縮小される変更だった。
次に3つ目に新築住宅における床面積要件の緩和措置延長、そして4つ目が「子育て世帯・若者夫婦世帯に対する控除の拡充」である。床面積要件は緩和措置が維持され、子育て・若者夫婦世帯への控除拡充となる変更であった。
(※)買取再販住宅とは、宅地建物取引業者が特定増改築などをした既存住宅を、その宅地建物取引業者の取得の日から2年以内に取得した場合の既存住宅を指す。