マイホーム減税に惑わされるな!
購入時の4つの注意点
本年度は住宅ローン減税が維持されているものの、住宅ローンを組んでマイホームを手に入れる場合は、マイホーム減税に惑わされず慎重に購入を検討することが大切である。では、住宅ローンを選ぶ際にはどのようなポイントがあるのだろうか。ここでは4つのポイントを解説する。
まず1つ目に「住宅ローンの金利タイプ」である。住宅ローンには固定金利と変動金利がある。変動金利は短期プライムレートの採用により金利が低く設定されているものの、一般的に6カ月に1度見直されているため返済額に変動が起きる。毎回の返済額は返済方式で異なるため、様々な契約スタイルを比較しながら決める必要がある。一方の固定金利は借り入れ時に定めた金利から変動しない。10年物国債利回りを基準としており変動金利よりは高い金利になることが一般的だ。
住宅金融支援機構が2022年4月に行った「住宅ローン利用者の実態調査」によると、住宅ローンの金利は変動金利型を選ぶ人が7割を超えている。この背景には日本国内の住宅ローン金利が長期間に渡って低金利で設定されてきたこと、2022年頃から固定金利に上昇傾向が見られたことが挙げられる。自身が住宅ローンを選ぶ際には、返済期間中のライフスタイルや夫婦の年齢、共働きや親族からの支援なども念頭に選ぶことが大切だ。
2つ目に「贈与制度の活用」である。今回テーマの住宅ローン減税は、返済期間が10年以上のものが対象となる。控除はありがたいものだが、もしも家族から「贈与」が受けられる場合は、ローンを組まないという選択肢も生まれるだろう。
現在住宅資金贈与の特例については、2026年12月31日まで適用期間が延長されており、祖父母や父母から子や孫へ住宅購入資金を贈与する場合は最大で1000万円まで非課税となる。本制度も今後廃止や制度の改正の可能性は高いため、適用を検討する場合は「早め」が大切である。本制度には相続税対策の効果もあるため、贈与制度にもぜひ目を向けてほしい。
3つ目に「住宅購入費以外の諸費用について」である。マイホームを購入する時は、土地・建物といった不動産の購入だけではなく、購入費以外の諸費用にも注意が必要だ。登録免許税や不動産取得税など、税金も発生する。また真新しいマイホームには家具・家電も購入したくなるだろう。こうした費用も念頭に、無理のない返済計画を立てることが望ましい。
最後に4つ目は「購入と賃貸の比較」である。住宅ローンを組んでマイホームを購入すると、その後は返済だけではなく固定資産税が発生する。エリアによっては都市計画税も加算される。一方賃貸の場合、家賃や共益費などを支払っていく必要があるが、固定資産税や住宅ローンは回避できる。
購入と賃貸のどちらが生涯コストにおいて安くなるのか、不動産が所在する地域によっても大きく異なる。自身が持ち家向きか、賃貸向きかも返済シミュレーションを行い、マイホームの購入時における検討材料としたい。
本記事では2025年度税制改正大綱による住宅ローン減税について、マイホーム購入時の注意点も交えながら詳しく解説した。住宅ローン減税は本年度も据え置き措置が決定しており、子育て・若者夫婦世帯への支援も継続している。今年こそ憧れのマイホームを、と検討している人にとって、不動産購入のチャンスは継続していると言えよう。家族からの贈与や、賃貸との比較も再度行い、住宅ローン選びは慎重に行ってほしい。