人間関係の基本は「信頼」
数字には表れない信頼の獲得法

 人間関係の根底には、公私を問わず信頼が重要とされます。

 相手に対して不安、不信な感情を抱いていれば良好な関係は築けません。ビジネスにおいても結果は期待できないでしょう。

 社内に目を向けると同僚や下位者、他部門など多くのメンバーとの信頼構築が望まれます。同時に、意外と軽視されやすいのが、上位者との信頼関係を築く努力です。

 私の経験ですが、上司として部下には心を配ってきたと思っていても、一方で上位者に対しては、自分よりも上の立場なのだから情緒に流されないのは当然と考えていました。

 しかし、上位者とはいえ自分と同じ人間です。表情には出さずともうれしい、悔しい、我慢しているなど様々な感情が湧いていたはずです。

 上司の立場を察して接することはなかなか難しいかもしれませんが、管理職である以上は、上司の心情面も理解できる部下でありたいものです。

 ある経営者が自身のトップとしてのキャリアを振り返り、次のように述べられました。

「自分は長年にわたり、社長として商売をしてきた感覚が薄い。何をしてきたかと振り返れば人探しをしてきたように思う。この人とならば心が通じ、信じ合い、一緒になって同じ方向に向かって行けるというパートナーを探して来たように思う」

 経営者は孤独と言われますが、その心情を表現した言葉のように感じました。

 では上位者の信頼を得るにはどうしたらよいか。信頼を得るには時間がかかります。そして何より行動が問われます。

『論語』に「巧言令色鮮なし仁」とあるように、言葉巧みなだけでは信頼を得られません。

 言ったことは必ず実行する。有言実行を繰り返し、結果を積み上げることで信頼もまた積み上がるのです。

POINT:人間関係の基本は信頼関係にある。成果を上げているだけの部下を上司は重要視をしても信頼はしない。信頼を得るには時間の裏付けも要るし、計算のない利他の行動も必要だ。つまり信用できる人間性が信頼のベースとなるのだ。