北欧家具を思わせるインテリアデザインは
センスがよいうえに質感も上々
率直にいって、かつてのボルボは乗り心地は快適だったけれど、ハンドリングはやや鈍重だった。そしてXC90以降はハンドリングが軽快になったものの、乗り心地が快適とは言い難かった。この二律背反を、先にデビューしたEX-30とEX-90は完全に乗り越えたといっていい。このあたりは、EVの低重心設計が功を奏したものと考えられる。
一方で動力性能は十分以上。フルスロットルではスポーツカー並みの加速感を味わえるが、市街地をゆったり流す際のコントロール性は高く、不満は見当たらなかった。また、ブレーキペダルを使わなくても十分な減速力が得られるワンペダル・コントロールも唐突感が少なくて扱いやすいと評価できる。
北欧家具を思わせるインテリアデザインはセンスがよいうえに質感も上々。タッチディスプレイに多くを依存した操作系にはテスラからの影響を感じなくもなかったが、こちらも特段の違和感は覚えなかった。
試乗会とほぼ同じタイミングで、ボルボは2030年までに完全EVメーカーになるという目標を取り下げ、同年までに販売台数の90~100%をEVもしくはPHEVにする新たな目標を掲げた。とはいえ将来的に完全EVメーカーとなる方針に変わりはない。そうした戦略を鑑みても、新フラッグシップであるEX-90の果たす役割は小さくないといえる。
(CAR and DRIVER編集部 報告/大谷達也 写真/ボルボ)