PCを見たまま話を聞く

 例えば、ケースAの上長は1on1が始まっても目線をノートPCのモニターから離そうとしません。

 一方で、ケースBの上長は、モニターから目を離したうえで体を部下に向けて話を聞いています。

 ご自分が部下ならば、ケースAとケースB、どちらの上長が話しやすいでしょうか。

 みなさんのなかには、ケースBのように「じっと見られる」とかえって話をしにくいという人もいるかもしれません。

 しかし実際は、ケースAのような上長と1on1を行っても、話は長く続きません。ケースAの上長の先が思いやられます。

 人の話を聞くときは、身体ごと相手に向け、目線も合わせる。たとえそれが部下だったとしても、その基本は変わりません。

 当たり前のことですが、一緒に働く部下だからこそ、誠意をもって接するように心がけましょう。

『増補改訂版 ヤフーの1on1』では、部下との対話に必要なコミュニケーション技法について体系的かつ実践的に学ぶことができます。

(本稿は、2017年に発売された『ヤフーの1on1』を改訂した『増補改訂版 ヤフーの1on1 部下の成長させるコミュニケーションの技法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。ヤフー株式会社(当時)は現在LINEヤフー株式会社に社名を変更しましたが、本文中では刊行当時の「ヤフー」表記としております)

本間浩輔(ほんま・こうすけ)
・パーソル総合研究所取締役会長
・朝日新聞社取締役(社外)
・環太平洋大学教授 ほか
1968年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、野村総合研究所に入社。2000年スポーツナビの創業に参画。同社がヤフーに傘下入りしたあと、人事担当執行役員、取締役常務執行役員(コーポレート管掌)、Zホールディングス執行役員、Zホールディングスシニアアドバイザーを経て、2024年4月に独立。企業の人材育成や1on1の導入指導に携わる。立教大学大学院経営学専攻リーダーシップ開発コース客員教授、公益財団法人スポーツヒューマンキャピタル代表理事。神戸大学MBA、筑波大学大学院教育学専修(カウンセリング専攻)、同大学院体育学研究科(体育方法学)修了。著書に『1on1ミーティング 「対話の質」が組織の強さを決める』(吉澤幸太氏との共著、ダイヤモンド社)、『会社の中はジレンマだらけ 現場マネジャー「決断」のトレーニング』(中原淳・立教大学教授との共著、光文社新書)、『残業の9割はいらない ヤフーが実践する幸せな働き方』(光文社新書)がある。