悩んでいることを友だちなどに話すと、問題が解決するわけではなくても、気持ちが多少軽くなるものです。それがカタルシス効果です。腹立たしいことがあったとき、だれかに言いたくなるのも、腹立たしい思いをはき出すことでスッキリするからですが、これも自己開示のカタルシス効果です。
悩んでいることや不安に思っていることを友だちなどに話したとき、その人も同じように悩むことがあると言ってくれたり、自分も似たような不安を感じることがあると言ってくれたりすると、自分が特殊なわけではないと感じ、わかってもらえたと思うことで、気持ちが軽くなります。これが自己開示の不安低減効果です。
友だちとそれぞれの経験や思いを語り合い、共感したりされたり、思いを共有したり、お互いについてわかり合えたりすると、相手がとても身近に感じられるようになるものです。これが自己開示の親密化効果です。
このように自己開示にはさまざまな心理的効用があるため、私たちは何か迷いが生じたり悩んだりすると、だれかに聞いてもらいたくなるのです。
カウンセリングの効果もそこにあります。カウンセラーは、こうすればいいというような答えを与えるわけではなく、迷いや悩みを抱える人の語りにじっと耳を傾けます。どうするか、どのように考えたらよいかは本人の中から引き出されるのであって、カウンセラーはひたすら聞き手に徹します。
そんな聞き手を前にして、自分のモヤモヤした思いを、ああでもないこうでもないと語り、また語り直しているうちに、本人の心の中に変化が生じ、もつれがほどけるように気持ちが整理されていきます。
語ることで心の中が整理され、新たな方向性が見えてくる
悩んだり迷ったりするときにだれかに話したくなるのは、話すことですっきりするというカタルシス効果を期待しているということもあるでしょうけれども、より重要なのは自己明確化効果です。
嫌な目に遭ったときや窮地に陥ったときなどに、自分の状況や思いをだれかに聞いてもらいたくなるものです。そのようなとき、私たちは、自分の身に降りかかった出来事をどのように消化するかをめぐって、心の中で格闘しているのです。
ネガティブな出来事も、多少なりともポジティブな意味を持つものに塗り替えることができれば、気持ちが軽くなり、前向きになれます。