調子よく上司や先輩に取り入り、人の手柄もまるで自分の手柄であるかのようにアピールする、抜け目ない同僚が上役から気に入られて出世していくため、
「あんな腐っている人間を見抜けない連中ばかりの組織じゃ、まじめに働く気になれない」
と、やる気をなくしていたが、そんな思いを信頼できる学生時代の先輩に話したところ、こちらの気持ちに共感しつつも、
「その抜け目ない人みたいにずる賢く出世したいとは思わないんでしょ?」
「その人がうまくやっているかどうかをそんなに気にしなきゃいけないの?」
「その社内にも、地道にまじめに働いている人もたくさんいるんじゃないの?」
「昇進することに大きな価値を置いているんだっけ?」
などといった言葉を投げかけられ、自分がどんな働き方をしたいのか、どんな価値観を大事にして生きているのかを改めて意識することができ、やる気を持って仕事に取り組めるようになった人もいます。
上司との折り合いが悪く、成果を出しても正当に評価してもらえないし、ちょっとしたミスにも必要以上に叱責され、上司か自分のどちらかが早く異動にならないかと願っていたのだが、どちらもなかなか異動にならず、自分がミスしたわけではないのに見当外れの叱責を受け、「もう、我慢できない」となり、衝動を抑え切れず上司に対してキレてしまい、ますます居心地が悪くなった人がいます。
そうしたケースでも、日頃の上司との関わりについて語り合える仲間がいたなら、別の視点から気持ちを整理することができ、上司に対してキレるようなことにはならなかったかもしれません。
小さい頃は言うことをよく聞く子だったのに、思春期頃から反抗的になり、大学生になってからは親の言うことに耳を傾けずに友だちの下宿に外泊したり、親の希望も無視して就職先を勝手に決めたりするようになった。
こんなはずじゃなかった、自分の子育ては失敗だったと落ち込んでいるとき、そんな思いを友だちに話したところ、その友だちは、自分の子どもが母親とべったりで、親の言うことはよく聞くけど、友だちよりも母親と親しい感じで、なんでも語り合える親友がどうもいないみたいで、就職先も自分で決められずに親に相談してくるし、
「20歳を過ぎても何も自分で決められず、こんなふうに親に依存しているようでは、この先自立して生きていけるのか、ほんとうに心配でたまらない」
と、こぼしており、子どもの育ち方もいろいろだな、わが子もそんなに間違った方向に育っているわけではないかもしれないなと思えて、ホッとしたという人もいます。