そこで必要なのは視点の転換です。自分で考えているだけでは視点を揺さぶるのは難しいため、新たな視点を求めてだれかに語ろうとするのです。

「必死に頑張っているのに、どうしてもレギュラーになれない。もう部活をやめたい」と悩んでいたけれど、そんな思いを友だちに話しているうちに、自分はサッカーがほんとうに好きなんだということに改めて気づき、レギュラーなどにこだわらずに好きなサッカーに思い切り打ち込みたいと思い、結局最後までレギュラーにはなれなかったものの、部活中心の楽しい高校生活を送ることができたという人がいます。

 受験に失敗し、目指していたのとは違う大学に入学せざるを得なくなり、自己嫌悪と共に将来を悲観し、授業に出てもまったくやる気がなかったのだが、そんな学生が多かったせいか、ある先生が授業中に、

「高校入学時に成績下位だった子が、高校3年時には成績が伸びていて、難関大学に合格したり、逆に高校入学時にはトップクラスの成績だった子が、しだいに成績が低下し、希望していない大学しか受からなかったりするのも、よくあることです。高校の3年間でそうした大逆転も起こり得るのだから、大学は4年もあるし大逆転の可能性はより大きいはずです」

 と、いう話をしてくれて、それをきっかけに視界がパッと開けて、勉強を頑張れるようになり、充実した学生生活も送れたし、就職活動でも力を発揮できて、希望する業界に就職できたという人もいます。

 一方で、「こんなに一生懸命に勉強しているのに、なぜ成績が上がらないんだろう」という思いが膨れ上がり、ついに不登校になり、家庭内暴力を振るうまでになってしまった人もいます。もし、そうした思いを語れる相手がいたら、自分にない視点に触れることができ、新たな視点から気持ちが整理され、そのような深刻な問題を起こさずにすんだかもしれません。

 大人になってからも、さまざまな悩みに直面することがあると思います。