“超・超売り手市場”におけるITエンジニア・DX人材

 自社のDX推進がどのような目的で始まったとしても、とにかく必要になるのはITエンジニア・DX人材ですので、採用ターゲットが定まっていなくても、採用担当者には「DX人材を連れてきてほしい」という要望が届きます。ところが、いま、転職市場でのITエンジニア・DX人材は超・超売り手です。売れっ子ITエンジニアに聞いてみたところ、様々な転職サイトから合計週100件ほどの求人が届くそうです。良いITエンジニア・DX人材を採用するためには、求職者から選ばれる存在となり、そして、適切な方を採用するための見極める力を身につける必要があります。そのためには、採用ターゲットを解像度高く理解し、求職者が転職で何を実現したいのかを知り、それを選考プロセスで伝えながら活動する必要があります。

 筆者の会社では、日々、企業に対して、ITエンジニア・DX人材の採用に関するアドバイスを行っています。以前は主に、企業のシステム開発を受託して手掛けるシステムインテグレーターや、インターネットを活用して様々なサービスや製品を提供するWeb会社がITエンジニア・DX人材を求めていましたが、現在ではあらゆる業種・業態の企業がこれらの人材を必要としており、ニーズの増加を身近に感じています。

 そうしたなか、私たちは、転職経験があるITエンジニア・DX人材551名に、転職活動中に感じた選考体験の印象をアンケート形式で調査しました(*)。私自身もこれまでたくさんのITエンジニア・DX人材と関わってきましたが、アンケートを取ってみると現場で感じていることどおりのものもあれば、意外な結果もあって驚かされました。ITエンジニア・DX人材のニーズや志向は日々変化し続けており、採用担当者は情報や感覚のアップデートを続けることが重要であると感じました。私自身がITエンジニアだった経験と採用現場でITエンジニア・DX人材と関わっている体験を交えながら、アンケート結果を解説したいと思います。

*2024年【第1弾】ITエンジニア・DX人材転職の実態に関するアンケート(2024年11月実施)

 いくつかの項目でアンケートを取っていますが、今回は「応募したくなる求人・応募したくない求人」について解説します。

 なお、アンケートの対象としたITエンジニア・DX人材は、システム開発エンジニア、AIや機械学習など先端技術エンジニア、インフラ系エンジニア、社内情報システム担当、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントなどの管理・コンサル系です。そして、DX人材であるデータサイエンティストやビジネスプロデューサー、デザイナーも含みます。