〈部門(セクション)レベルの問題〉

 特定の部署やインフォーマルなグループ内で慣習化・常態化した行為や文化が原因となる問題を指す。

・部署内で複数のメンバーや上長が関与し、組織のルールや方針に反した行為である
・部署内で複数のメンバーや上長が問題行為を知りながら黙認している
・問題が他部署や経営陣には十分伝わっておらず、部署やグループ内で意図的に隠蔽(いんぺい)されている
・経営陣は予防策を講じていたが、問題の発生自体は事前に把握していなかった
・問題発覚後、あらかじめ決められた対応方針にのっとって組織的に対応がなされ、再発防止策として処罰や教育研修が行われた

 この場合、責任の所在は基本的に当該部署やグループとなるが、問題を隠蔽したり長期化させたりした管理職や担当役員の責任は大きい。また、当該部署が取引先企業との窓口である場合には、組織全体の信頼性に影響を与える度合いが大きくなる。よって、会社としても損失を被るため、管掌役員や幹部を含めた責任問題は避けられない。

〈会社全体レベルの問題〉

 トップマネジメントや経営陣の方針、あるいは組織体質そのものが問題の原因となっている状態を指す。

・複数の部署にわたって不正や不適切行為が長期間続いている
・経営陣が問題を把握していながら放置、黙認、または公然と奨励している
・全社的な方針や評価制度、ガバナンス体制が機能しておらず、問題行為を助長している
・公式ルールが形骸化しており、経営トップの意向で実質的に無効化されている
・問題発覚後も、あらかじめ決められた対応方針に基づく組織的な対応がなされない
・再発防止策として処罰や教育研修なども積極的に実施されない

 このような場合、会社全体が人権侵害企業やコンプライアンス問題企業と認定されるに足る深刻な状態である。取引停止や法的制裁につながるリスクが非常に高く、社会的信用の失墜は免れない。経営陣の刷新や抜本的な組織改革が必須であり、これらが実現しない限り企業としての信頼回復は極めて困難である。