不毛な世代間対立をやめ、安易にジェネレーションギャップで片付けないためにも、世代間の対立を煽るようなことを控えたいものです。ここは思い切って、年齢の非公開を前提にした社会にすると、それぞれがもっと自分らしく生きられるのではないでしょうか。

非正規雇用、離婚、親の介護…
可視化されてきた「下流中年」

 ロスジェネ、就職氷河期世代、第二次ベビーブーマーを代表して言わせてください。

 この世代がいかに元気に活躍するか、ハッピーになるか。日本の未来、浮沈はここにかかっています。私たち、50代という世代をなかったことにしてはいけないのです。

 私が40代に入った頃に流行った言葉は「下流中年」でした。収入が低い、雇用が安定しない、恋人や配偶者がいない、衣食住にかけられる金額が低いなど、生活レベルが低空飛行を続ける中年のことを表現する言葉です。

 私たち「就職氷河期世代」「ロスジェネ」と呼ばれる、バブル崩壊後、日本経済の低迷期に高校、大学を卒業した層が中年になり始めた頃でした。

 かつて、中年は働き盛りであり、住宅ローンを抱えつつも、懸命に家族を養っていました。しかし、長期間にわたり非正規雇用が固定化するなど生活が安定しない人たちも出現していたのです。低賃金のため、どうしても食事はジャンクなものになりがちです。

 ただ、「下流中年」になるおそれはなにも社会に出てからずっと非正規雇用で働いてきた者だけに限りません。リストラ、過労、離婚、親の介護など環境の変化が原因で、生活が安定せず、一気に下流中年に転落することもあり得ます。

 さらに恋愛をする意欲も減退し、中には、中年になっても、まだ性交経験がない「中年童貞」もいると指摘されました。

 今までの中年像とは異なる、下流中年の出現が可視化されたのです。それらの現象は「アラフォークライシス」とも言われました。