アニメ化されたのは1980年代後半でした。自分の身体を自身の犠牲も顧みずにさしだすという世界観がなかなか理解されないうえ、ばいきんまんという悪役キャラがいるがゆえに、スポンサー候補の食品メーカーが当初、難色を示しなかなかアニメ化されなかったという説があります。
しかし、アニメ化されてからは、アンパンマンは誰もが知るキャラクターになりました。
ちなみに、やなせたかし先生は絵本や童謡の歌詞などで実績はありましたが、このように同作品が大ヒットしたのは60代になってからでした。戦争で出征し、さらに弟さんが特攻隊で亡くなるなどたくさんの経験をしました。ちなみに、2番の歌詞で「光る星は消える」とあります。この歌詞をはじめ、この曲はやなせ先生の弟さんのことを歌ったものだそうです。
「アンパンマンのマーチ」が問う
人が生まれてきた意味
同じことを繰り返しますが(強調したいので)、やなせ先生の人生の花が開いたのは60歳以降でした。この話だけで、同作品同様に、愛と勇気がわいてきませんか。
この『アンパンマン』の主題歌で出てくる問いかけは、私たちの肩に重くのしかかります。何のために生まれて何をして生きるのか――。
あなたは答えられますか。

「答えられない」、そのような答えが大多数だと思います。答えが見つからなくても、答えられなくても、私たちは生きるのです。この問いに向き合って。
10年ほど前、私と同世代である新日本プロレスのエースで現在は社長を務めている棚橋弘至さんと対談したことがありました。棚橋さんからは、プロレスを見る際は、華麗な技もいいけれど、技を受けて何度でも立ち上がる強さを見てほしいというメッセージを頂きました。
私たちも、ときに反則攻撃も含めて相手の技を受けつつ、ロープにふられても戻ってきつつ、何度でも何度でも立ち上がるのです。