表5-4同書より 拡大画像表示

 当然ながら、両地域における有配偶女性から出生する子ども数は2人で同一である。一方、20~39歳の有配偶女性人口を分母として算出される有配偶出生率は、地域Aでは0.1(=20/200)、地域Bでは0.2(=20/100)となり、2倍の差が生じる。

 これは極端な例であるが、有配偶出生率は、結婚年齢が早い場合には出生行動を終えてから長い期間が経過した人々も分母に含まれることになるため、値が低くなりやすい。

 2020年の15~49歳の有配偶日本人女性人口を分母として有配偶出生率を算出すると、東京都は全国より少し低い程度、都心3区(千代田区、中央区、港区)に至っては沖縄県以外の全都道府県よりも高い値を示すが、これは上述のような東京都や都心3区における晩婚化が強く影響している。

 すなわち、晩婚化によって結婚持続期間が短い(出生行動を終えていない)女性が相対的に多く含まれるため、実態に反して値が押し上げられることになる。

都道府県別の結婚出生力
全国と下位2都道府県の値は

 そもそも結婚出生力は、基本的には既婚女性1人あたりの平均的な子ども数によって測定されるのが適切であり、1時点のデータのみで把握することは非常に困難である。そこで、先に述べたCTFRと、国勢調査から得られる当該コーホートの45~49歳時点における未婚率によって都道府県別結婚出生力の把握を試みる。

 出生はすべて既婚女性から発生すると仮定すれば、CTFRを「1-45~49歳時未婚率」で割ることによって、当該コーホートにおけるおおよその既婚女性1人あたりの平均的な子ども数が算出される(以下、この指標をCMTFRと記す)。

 CMTFRは、CTFRと同様にある程度人口移動の影響を受けることなどには留意する必要があるが、結婚後の移動は都道府県内の短距離移動が比較的多いことから、一定の信憑性があると考えてよいだろう。