さきほどと同様、1970年、80年、90年時点でそれぞれ15~19歳であったコーホートについてCMTFRを算出し、その全国値と下位2都道府県の値を表5-5に示した。

表5-5同書より 拡大画像表示

 出生はすべて既婚女性から発生すると仮定しているため、表5-2のCTFRと比較すると当然ながら値は高くなり、45~49歳時未婚率の上昇とともに若いコーホートほどCTFRとCMTFRの差は拡大している。

表5-2同書より 拡大画像表示

東京圏一極集中によって
低出生率が隠されてきた

 ただし、CTFRと同様、CMTFRも大幅に低下しており、全国的にみれば出生力のみならず結婚出生力の低下も大きいことが確認できる。東京都に着目すると、45~49歳時未婚率が高い分、CMTFRの全国値との較差はCTFRと比べてやや縮小しているものの、それでも各コーホートにおいていずれも最下位となっている。

 東京都では、他地域と比べて結婚出生力も著しく低い可能性が濃厚といえよう。

 このように、東京都では全国を大幅に下回る低出生率が長年にわたり継続しているにもかかわらず、実は出生数の減少は緩やかである。たとえば2000~22年でみると、出生数の減少率は全国では35.3%であるが、東京都では9.1%であり、減少率は全都道府県で最も小さくなっている。