「それで、俺に来た依頼ってのが……村で詐欺やってる連中たちの相手ができる女の子を探しているというんです。カンボジア政府をカネで巻き込んでるから村が摘発されることはない、って。日本政府も手出しできないとも言うてました。最初はホンマか?って信じてなかったけど、実際ああやって、堂々と詐欺をしているのを見ると、そんなものかと思えてきて……この目で見た光景は強烈でしたね」

 Kはさらに声を潜めると、とある地名を口にした。それはタイと国境を接するカンボジアの地方都市で、Kは実際にそこも視察に行ったという。しかし、都市の名前はそれまで聞いたことのないものだった。

「いや、この街の名前を知ってる日本人はいないと思いますよ。観光する場所もないし、当然『地球の歩き方』にも載っていない」

 Kから旅行ガイド本の名前が出てきたのには少々面食らった。が、Kがこの街に行くきっかけになったのは、フィリピンの風俗関係者からの紹介だったという。実はKはフィリピンのエージェントから頼まれてAV女優を派遣する仕事もしていた。フィリピンといえば「ルフィ事件」(編集部注/2022年~23年に日本各地で発生した連続強盗事件)の拠点があった国として我々取材班にはおなじみの国だ。

「俺に話を持ってきたのは『ルフィ』の親玉たちとなんらかのつながりがある人間でしょうね。そんなの詮索してもいいことなんてなにもないから聞きはしなかったけど」

カンボジアのサギ村で働いていた
日本人風俗嬢の証言

 Kと会った数週間後、カンボジアで働いたことがあるという女性との接触に成功した。巷で薄いコーヒーしか出てこないと言われる池袋の喫茶店で落ち合った。

 女性はピンク色のフリルがついたスカートに、白いカーディガンを羽織っている。そして、今から小旅行をするのではないかと思える大きなボストンバッグを隣の席に置いていた。池袋のチャイデリで働いているという日本人風俗嬢のレイラ(30代後半)だった。ぱっと見、大柄な印象だった。

 レイラが働く「チャイデリ」とは中国人が経営する無許可の風俗店で、主な客は訪日中国人観光客だ。店は池袋のマンションの一室で開いていることが多く、正規の風俗店で稼げなくなった風俗嬢が流れ着く場として、その筋では知られている。

 主な集客は中国のSNSで行われていて、値段は1回約1万円。