
2017年にオーストラリアに語学留学した女子大生は、日本で風俗経験がないにもかかわらず、すぐに売春業界で働き始めた。日本人ブランドも手伝って売れっ子になり、1年間で400万円を稼いで帰国。そんな“勝ち組”女性が、「海外出稼ぎ売春ブーム」のシビアな現状を明かしてくれた。オーストラリアと言えば、チャレンジングな若者たちのワーキングホリデーの受け皿だったが、それはいまや昔の話。日本の若者たちは単純肉体労働ですらありつけず、それどころかカラダを売ることすらままならないのだとか。本稿は、週刊SPA!編集部 国際犯罪取材班『海外売春-女たちの選択-』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。
オーストラリアでは売春が合法
語学留学の女性はバイトを即決
リサは名古屋市内から「電車で2時間ぐらいの田舎町」で生まれ育った。18歳で上京し、有名私大に進学。学生時代は「そこそこ勉強し、それなりに遊んだ」というが、社会に出るモラトリアムとも言える4年がすぎようとしたとき、就職でいろいろと思い悩んだ。東京か地元か――といった次元の話ではなく、「せっかく一度きりの人生なのに、このまま普通に就職していいのか」という類いのものだったという。
リサは、はにかむように言った。
「世間知らずで若かったんでしょうね」
大学を卒業すると、リサは1年間、語学留学をすることに決め、就職は一旦棚上げにした。留学先として選んだのがオーストラリアのシドニーだった。
両親からもそれほど反対されることはなかった。留学にかかる費用は両親が負担し、生活費は「アルバイト」で賄うということで話がついた。
2017年――。シドニーに渡ったリサは、驚くことにすぐに置屋で働き始めたという。これは渡航前から考えていたことではなかったと説明した。
「オーストラリアでは売春が合法だってことも知らなかったですし、日本で風俗経験があったわけでもないんです。でも、不思議と風俗で働くことに抵抗はありませんでした。『ここで自由に過ごせるのは1年。それなら知らない世界を見るのもいい経験』だと。つらかったらやめればいいって思っていましたし」
リサにとって、長続きする理由があった。現地のシステムが合っていたのだ。
「オーストラリアの風俗って夜中の3時ごろまでやってるんですけど、いつ行って、いつ帰っても許されるんです。決まりがびっくりするほどユルい。だから自分は必要な“生活費”を稼いだら、すぐに帰っていました」
週に3日、5時間程度働いて、日本円で15万円近くの稼ぎになった。週給15万円である。学生ひとりで生きていくのは十分すぎるほどの額だ。
「日本人」ブランドのおかげか
1年で400万円稼ぐ売れっ子に
しかしリサにはこれ以上の欲はなかった。プロのように稼ごうとは思わなかったのだ。
「せっかくシドニーにいるのにそんなことで時間を使ったらもったいないですよ。ほかにもやりたいこと、遊びに行きたいところ、たくさんありましたから」
リサの言葉を借りれば「コストパフォーマンスを追求」した結果、割のいいバイト先として置屋に属したのだ。