
貧困を脱すべく東京からカナダへ渡った23歳女性は、非合法な売春で荒稼ぎ。「カネのため」と心の中で繰り返し、初めての客と寝たのを機に、2カ月で200人もの男に指名されていた。多いときは一晩で53万円も売り上げる彼女の話から、裏で糸を引く売春組織のボスは中国人だと判明。バンクーバーでの“出稼ぎ売春”の実態に迫る。本稿は、週刊SPA!編集部 国際犯罪取材班『海外売春-女たちの選択-』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。
風俗未経験の23歳女性が
カナダでカラダを売る理由
「こんばんはー」という若い女性の声とともに映し出されたスマホ画面は、白っぽい光で飛んでいた。彼女のスマホはテーブルに置かれ、カメラが向けられていたのは部屋の天井だった。とりあえず女性であることにホッとしつつ、こちらも努めて明るく挨拶した。軽い世間話をしようとすると、彼女は「身バレが怖い」と訴えた。顔を出すのを極端に嫌がる彼女を説得すること数分、録画しない条件で顔出しを承諾してくれた。
画面に写った女は暗めの茶色い髪色のショートボブ、メイクは薄くハデさはないが、目鼻立ちが整った顔。記者の頭に浮かんだのは女優の山本美月だった。日本で街を歩いていれば、男が振り返るような美人である。
名前は「ミユ」で23歳だと言った。出身は神奈川県の某市で、カナダに渡ったのは2カ月前だという。旅行ではなく「出稼ぎ」目的だとはっきり言った。バンクーバーへの渡航は今回が初めてだというが、ある事実を聞いた刹那、記者は息を飲んだ。
「こういった仕事(風俗)は未経験だったんです」
「初めての風俗経験が海外」という彼女に思わず「それは、本当ですか?」と何度も聞き返した。画面の中の彼女はコクリと頷く。
借金のカタにはめられ、売り飛ばされたのか……と勝手なストーリーを作り、画面の中で作り笑いを浮かべる彼女を見て少し哀れんだ。しかしステレオタイプな取材しかできない自分をすぐに恥じることになる。理由を聞いた記者に対して、ミユはあっけらかんとこう答えた。
「来た理由ですか?うーん。あぁ、別に借金があるわけじゃないですよ。他の人たちと違ってホストにも行かないんで。強いていえば整形をしたいくらいですかねぇ。でも整形に使うにしても200万程度じゃないですか。ただ、お金が欲しい。それだけです」
東京で残高20万円のエステ嬢
困窮を救ったのは海外出稼ぎ
もともと高校時代にニュージーランドに留学しており、英語はある程度はできると言うミユ。カネを簡単に稼げて、ついでに英語も勉強できたらと、軽い気持ちで海を渡ったのだと説明する。